門井慶喜著「文豪、社長になる」を読んでみて|菊池寛と文藝春秋の知られざる一面

直木賞作家・門井慶喜による「文豪、社長になる」は、文藝春秋の創業者・菊池寛の人生を描いた一冊。


文豪としての顔だけでなく、企業経営者としての菊池寛に光を当て、文学史と出版史を同時に味わえる点が魅力です。

5章構成で描く菊池寛の人生

本書は5章構成で展開されています。
  1. 寛(ひろし)と寛(かん)
  2. 貧乏神
  3. 会社のカネ
  4. ペン部隊
  5. 文藝春秋

特に第4章までは、芥川龍之介直木三十五との交流、そして芥川賞・直木賞の創設秘話、さらに出版社「文藝春秋」の経営の舞台裏など、歴史好き・本好きにはたまらない内容です。

読んで感じたこと

第1章から第4章まで夢中になって読み進め、文学者同士の交流がリアルに描かれ、菊池寛の決断力と行動力が伝わってきます。

一方で、第5章はやや描写がくどく、読後の印象としては少し冗長に感じました。

秋元康による解説と「エンタメの父」

巻末解説は秋元康が担当。「圧倒的な人間力。こんな夢中になって読んだ本はいつぶりだろう?」と熱く語っています。

帯には「エンタメの父」とも記され、現代における文藝春秋や週刊文春の影響力を考えると、確かに的を射た言葉だと感じました。

まとめ

「文豪、社長になる」は、菊池寛という文豪を「作家」としてだけでなく「経営者」としても理解できる貴重な一冊です。

文学ファンはもちろん、出版業界や歴史に興味のある方にもおすすめの本です。